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2011年3月29日火曜日

資料:「原発とはどういうものか知ってほしい」

友人から次のようなメールを貰った:
元原発関係技術者故平井憲夫さんの論文です。同氏は1996年長年の
被曝により物故されました。当然福島第一の人災に直接触れたものではありませんが、
この論文は原発の何たるかを淡々と伝えていると思われます。

ご参考まで。

増田 満

添付されていた資料をこの友人の同意を得て公開することにしました。

PDFファイルです。小生の公開ディスクに入れてありますので下記のタイトルをクリックすると読めます。お読み下さい。
原発とはどういうものか知ってほしい(全)
現場を離れた机上の議論が如何にきれい事であるのか、よくわかります。

(追記)

このブログに書いたことは自動的に Twitter に流れるのだが、この件に関する Twitter のRTコメントを見るとこれは以前からかなり組織的にこの文書をディスクレディットする攻撃がなされていたらしい。書いた人は学者じゃないので細かいところでは数字の間違いはあるかもしれない。しかし、今回の福島第一事故をみれば、やっぱり本質的なところで間違っていなかったと考えるべきだろう。原子炉技術者だった大前研一も 同じような指摘をしている(次ページ)。







原発は、ほとんど永遠に続く廃棄物の後始末や、建設時や事故の起こった時の補償を含めると、トータルコストでは従来型よりもとてつもなく高くつくから、経済的にも見合わなくなっている。合理的に考えて、止めた方がいい。

2010年7月16日金曜日

ニワトリが先か、タマゴが先か……英国の科学者が遂に究明!

人類永遠の疑問とされてきた掲題の命題に遂に回答が見つかった:
Scientists crack chicken, egg puzzle | The Daily Telegraph: "WHAT came first, the chicken or the egg?

Scientists in Britain think it was probably the chicken, after using new computer technology to crack the age-old riddle, AFP reported today."
ニワトリが先だったみたい。

こういうことにエネルギーを費やしている人たちを、尊敬しますです。

2010年2月15日月曜日

BBC地球伝説:古代エジプト文明の崩壊のなぞ……最後は子どもまで丸焼きにして食ったという、地球の気候変動のすさまじさは温暖化ガスなどというチマチマしたものではないのだ!

この番組は知らなかったことをたくさん教えてくれた:
BBC地球伝説 - Yahoo!テレビ.Gガイド [テレビ番組表]: "BBC地球伝説 「古代の黙示録:エジプト古王国の滅亡」4200年前、ナイルのもとで安定した農耕を営み、高度な文明を誇った古王国が崩壊を遂げた。番組では、古王国崩壊の謎に挑む。今から4200年ほど前、謎の崩壊を遂げた古代エジプトの古王国。崩壊の真相を解き明かす答えは意外にもアイスランドの氷河に隠されていた。自然の力の不思議と、古王国滅亡の恐るべき謎が、ついに解き明かされる!"
温暖化ガスとかいう人為的で矮小的な原因でなかったことが衝撃的。

ちっぽけな人間が、宇宙のメカニズムをコントロールできるという「思い上がり」がそもそも間違っていると言うことを、しみじみ実感させてくれた番組であった。こういう番組を作るBBCはえらい。それに較べてイナカへの利益誘導ばかりを主張する環境対策一辺倒のNHKはアホ。NHKが環境でメシを食おうとする利権団体の走狗となってしまっているおかげであるが、彼我の知的レベルの格差はあまりに大きい。

ちなみに「地産地消」をするから最後は自分の子どもまで焼いて食わねばならない羽目になる。この記録を残したのはバグダッドの学者だったが、当時のバグダッドでは食うものが豊富にあった。国境を越えたグローバルな交易が実現できてさえおればこういった悲劇を回避できたのである。ニッポンの農水省と農村ウヨが主張する「地産地消」を進めれば、ニッポンも古代エジプトと同じ悲劇を繰り返すこととなる。

2009年10月14日水曜日

気象庁:民間気象会社(WeatherNews)は「業務条件を逸脱している」と注意

あらら、WeatherNews は気象庁様のご機嫌を損なってしまったみたい。さっきのNHKニュース:
NHKニュース 民間気象会社を口頭で注意: "今月、台風18号が愛知県に上陸したと気象庁が発表する直前に、民間気象会社が「三重県志摩半島に上陸した」という情報を発表していました。気象庁は、許可された業務の条件を逸脱しているとして、この会社を口頭で注意しました。"

この Weathernews にせよ Weather Report にせよ、民間の気象会社の予想はとても詳細できめが細かく、ヨットや漁船に乗る人たちはとても重宝している(例えばこんなことが分かる)。しかし今回、気象庁が「台風18号は知多半島に上陸」と発表する40分前に Weathernews が「志摩半島に上陸」と発表してしまったので、気象庁はカンカンに怒っているとのこと。こういう権威主義が日本をダメにした。

知多半島に上陸する前に志摩半島をかすっていったと言うことは十分考えられること。所詮台風がどこに上陸したかなにを以て言うかという定義上の問題であり、住民にとってはどうでもいいこと。しかも、その定義解釈上の判断であっても、今となってはどっちが正しいかは分からない。

ただ気象庁としては「おいらこそ気象の唯一絶対の判定者であり、おいらの言ったことが歴史的事実となるものである、民間が勝手なことをゴチャゴチャ言うな」というところだろう。どうもおかしいと思う。

わがニッポンでは「気象庁のお墨付きがないと」梅雨も終わらないし、サクラも咲かないことになっている。春一番にしても気象庁の御認定が必要。そのくせよく間違える。競争がないから相対比較の通信簿も付けられない。

こういうお役所の権威主義が日本をダメにしてきた。気象庁ばっかじゃないよ。

10/14 Today 鉄道の日:リニア新幹線なんかより大都市圏鉄道の標準軌化(改軌)の方が先じゃないか?

国土交通省のHPに因れば、今日は「鉄道利用者とのふれあいを持ち、これからの“愛される鉄道”を共に考える」日とのこと。下々の国民にも発言を許してやろうという目線の高い文章だが、折角の機会だからおいらも申し述べる。

国土交通省のページ:
10月14日は鉄道の日: "明治5年(1872年)10月14日に新橋~横浜間が開通した日本の鉄道は、国の発展に欠かせない基幹産業として、また最も身近な公共交通機関として、高速化・定時化・大量化・安全化に取り組み、経済活動の要、生活の足として、確かな基盤を築いてきたんだ。

このことを記念して、平成6年より10月14日を「鉄道の日」と定め、JR、民鉄等の鉄道事業者とその関係者が一堂に会し、鉄道の発展を祝うとともに、鉄道が国民に広く愛され、その役割について国民の関心が高まることを願って、多彩な行事を行うことにより、鉄道利用者とのふれあいを持ち、これからの“愛される鉄道”を共に考え、より一層の発展に寄与してるんだよ。"

JRの大プロジェクトといえばリニア新幹線。でも飛行機との勝ち目のない競争にバカなお金を使うよりもっと大事なことがある。ニッポンも、そろそろ世界でも例がすくない「植民地的な」狭軌鉄道から卒業し、線路の幅の広軌化(標準軌化)する時に来ているのではないか。せめて大都市圏だけでも早くやるべきだ。そうすれば台風が来たぐらいで首都圏JRが機能停止に陥ることはなくなる。車体の幅は同じでいいのだから新たな用地買収をする必要もない。リニアなんかよりよほど国民のためになるだろう。

日本での狭軌と広軌を巡る論争と改革の失敗については、ここが参考になる:
日本の改軌論争 - Wikipedia: "日本の改軌論争(にほんのかいきろんそう)においては、発祥時に1067mm軌間(狭軌)を採用した日本の国有鉄道(国鉄)が、1435mmの標準軌へ軌間を変更しようとした運動のことを記す。

日本の改軌論争は公共サービスの経済学において、国家的な政策と日々進歩する技術の両面が複雑に絡み論争を引き起こした最初の事例であり、ずっと後に至っても交通、通信、放送の分野において同様の論争が起こる度に「改軌の轍は踏まぬよう」という言葉が交わされている。"


これを考えさせられた契機は先日の台風18号。首都圏のほとんどの私鉄は運行しているのにJRだけが全面的に止まってしまった。風が吹くと止めることになっているらしい。それはJRが狭軌である以上仕方がないことらしいが、非常時にこそ公共交通機関の正常運行が求められるのに困ったことである。

この件については、小生ブログのコメント欄で詳しく説明してくれた人がいた。感謝する:
Letter from Yochomachi: なぞなぞ(JR系):どうして台風でJRだけが「運休」や「運転見合わせ」が多いのでしょうか?:”匿名 さんのコメント...
報道管制が引かれているようでマスコミは取り上げませんが、JR(旧国鉄)の線路幅は、狭軌と呼ばれる規格で線路幅が1067ミリです。
私鉄や一部の地下鉄は国際標準の広軌と呼ばれる規格で線路幅が1435ミリです。
JRでは新幹線だけが広軌の1435ミリです。
素人でも解るとおり、車輪の幅が約1mと1.4mでは安定性が全く異なります。
JRの狭軌は、軽自動車の車輪に大型バスを乗せているようなもので、風やカーブで転倒しやすい方式です。
今回の台風18号によるJRの大規模運休は、単に強風の影響ではなく、JRが狭軌方式を採用しているのが本当の理由です。
過去の鉄道事故でも、風やカーブで脱線転覆したのはJR(旧国鉄)が圧倒的に多いです。広軌方式の私鉄は転覆しません。
狭軌は、昔、植民地などに低コストで鉄道を敷設するために採用された簡易な鉄道規格です。
経済大国が、国土の大部分を狭軌方式の鉄道を張り巡らした例は日本以外にありません。
狭軌方式の鉄道で時速80Km以上は危険であるという研究結果を旧JRの鉄道研究所が発表しています。
JR福知山線事故は、広軌方式を採用して、新幹線と同じ性能と安全性を持つ関西の私鉄に、JR西日本が貧弱な狭軌方式の列車で速度競争を挑んだのが原因です。
残念ながら、この事実は、事故報告書でもマスコミ報道でも一切触れられていません。
時速80Km前後で走るJRの通勤電車、特急電車は、常に走る棺桶であることを国民は知る必要があります。
鉄道を利用するときは、広軌方式を採用している私鉄や地下鉄に乗りましょう。”

なぜ広軌に出来ないのだろうか。今さら広軌に変更すれば天文学的なお金がかかるというのは、どうも信用できない。レールをずらして、電車の下に取り付ける台車(車軸と車輪を組み合わせたもの)だけ取り替えれば済む話だ。車体の幅は広げなくても同じでいいのだから用地もホームもトンネルも今ののままで使えるはず。

きっと「JRは全国一律に同じ仕様でなければいけない」という「みんな一緒に」精神が問題を複雑化させているのだろう。巨大な通勤客輸送を必要とする大都市圏だけではじめればいい。JRは「安全安全」を言うのなら、風が吹いたらお休みというのではなく、改軌による抜本的な安全策を講じるべきだ。

2009年9月28日月曜日

温暖化ガス25%削減のため一人一人がやれること

NHKラジオを聞いていたら、消費生活アドバイサーなるオバさんが、25%削減目標を日本として達成するためには、コンセントを抜けとかトイレの水を節約しろとか、いろいろチマチマしたことを列挙していた。なんか「愛国主婦の会」を思い出してしまった。今さら「パーマネントは止めましょう!」でもないだろう。散人流の「結果が出る」対策をご披露する:

鳩山ポッポ目標を達成するために、一人一人の日本国民が、真剣に、心して、毎日やらねばならないこと:
  1. 国内旅行をしない。エネルギーの無駄遣いであるばかりでなく、公共交通機関を使えばバイ菌(インフルエンザウイルス)を貰ってしまう。タバコも吸えない。家にいる方がいい。
  2. 国産農産物は食わない。ニッポンの農業が如何に石油をじゃぶじゃぶ使う石油浪費型産業であるかは、実際現場を見てくればわかる。輸入農産物を食う。遙かに省エネ農業であるし、第一、国内の温暖化ガス産出量計算の対象とはならない。
  3. 「地産地消」をやらない。エネルギー計算で地産地消は非効率的であることが立証されている以上に、地産地消で喰っている人たちに所得を保障し養わねばならないので、扶養家族が多い分だけトータルの石油需要は増えてしまうのである。
  4. 回らない鮨屋で鮨を食わない。いわゆる高級国産魚とはエネルギーと資源の塊。漁船は毎日数十万円も軽油をじゃぶじゃぶ使いながら魚を獲るが、いわゆる高級魚を狙ってのこと。安い魚は捨ててしまう。高級養殖魚にしても自分の目方の何倍もの安い魚を食って育つ。まことに背源の無駄遣いである。
  5. 農水産物ばかりでなく、工業製品も国産品ではなく舶来の工業製品を買う。そうすれば国内で排出する温暖化ガスは確実に節約できるし、財布の節約にもなる。国産品はたいてい規制で守られているため規制で喰っている人たち(概ね公務員)を食わすためにその分、割高になっているからだ(外国では2万円程度で売られている国際VHF無線機が同じメーカーのものが国内では数十万円もする)。これまたニッポンでは扶養家族が多すぎるのでその分温暖化ガスの排出量は増えるという仕組みである。(錦の御旗は「安全・安全」、ニッポンでは人の命は地球より重いのだ)
  6. 子どもは出来るだけ少なくする。人間こそ温暖化ガス排出量増加の根本要因。
  7. 「グルメ」をしない。食い物は質実剛健で行く。毎日テレビで「オイシ〜!」の絶叫番組を見さされるのは、正直苦痛である。ニッポン人はかくまで食い物に卑しくなってしまったのかと、暗澹たる気分となる。

これらはなにもめずらしいことではない。かつての経団連会長土光さんは公団住宅に住んで毎日メザシを食っていた。アメリカのこどもたちのランチはピーナツバターサンドウィッチだし、ヨーロッパのブルジョワ家庭の朝飯はコーヒーとパンで、夕食はスープとパン、それにハムかチーズが普通。昔のニッポンももっと質実剛健だった。現代ニッポンだけが特定利権集団に踊らされた異常な消費行動をしているのである。その結果、みんなメタボ。なかにはダイエットする人もいるが、その結果虚弱体質となり病気になるので国民医療費が増えてしまう。これまたもったいないことである。

でも「消費生活アドバイサー」とか言う人は、こういう簡単な算数の計算が出来ないようで一切これについては触れない。彼らもまた「地産地消」で得する「既得権集団」に属しているから、しょうがないか。

2009年8月7日金曜日

8/7 Today 雄略天皇が死ぬ(479)

雄略天皇 - Wikipedia:”雄略天皇(ゆうりゃくてんのう、允恭天皇7年(418年)12月 - 雄略天皇23年8月7日(479年9月8日))は、第21代の天皇(在位:安康天皇3年11月13日(456年12月25日) - 雄略天皇23年8月7日(479年9月8日))。大泊瀬幼武尊(おおはつせわかたけるのみこと)、大長谷若建命・大長谷王(古事記)。大悪天皇・有徳天皇とも。また『宋書』・『梁書』に記される「倭の五王」中の倭王武に比定される。

倭王武の上表文には周辺諸国を攻略して勢力を拡張した様子が表現されており、熊本県玉名郡和水町の江田船山古墳出土の銀象嵌鉄刀銘や埼玉県行田市の稲荷山古墳出土の金錯銘鉄剣銘を「獲加多支鹵大王」と解しその証とする説が有力である。この説に則れば考古学的に実在が実証される最古の天皇である。”
文学史的にも実在が実証される最古の天皇であるね。ところが雄略天皇のY染色体(遺伝子)は今の天皇家に引き継がれていないのである。

万葉集の冒頭を飾る雄略天皇の歌:
籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち この岳に 菜摘ます児 家聞かん 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座せ 我こそは 告らめ 家をも名をも -『万葉集』巻第一より-

美しい籠をもち、美しい篦を手に、この丘で菜を摘む娘よ、そなたはどこの家の娘か 名はなんというのか この大和の国を、隅々まで治めている、全てを支配しているこの私から、名をも家をも名乗ろう


こんな昔から連綿と続いている天皇家の血筋はとても貴重なものである:
「お世継ぎ問題、男系の男子でつなぐのには重大な意味がある」(竹内久美子): "日本の皇室は世界一長い歴史をもっている。しかもそれはほとんど同じYでつながっているという奇跡に近いこと。"


思わず納得してしまうが、しかし、雄略天皇の「男系遺伝子(Y染色体)」は雄略天皇その人の時代で途切れてしまっていることは往々にして無視される:
雄略天皇の血筋は男系では途切れているものの、皇女の春日大娘皇女が仁賢天皇の皇后となり、その娘の手白香皇女が継体天皇の皇后となり欽明天皇を産んでいることから、その血筋は現在まで続く事となった。

つまり「血筋」は続いているが「男系遺伝子(Y染色体)は続いていないのである。

Y染色体の継続を理由に女性天皇を否定する「科学的」根拠は、5世紀の時代ですでになくなってしまっているのだ。


2009年5月23日土曜日

英ガーディアン紙:ネアンデルタール人が絶滅したのは多分人間が彼らを食ってしまったから

科学的な報告ですぞ:
The Observer, Sunday 17 May 2009 How Neanderthals met a grisly fate: devoured by humans : "One of science's most puzzling mysteries - the disappearance of the Neanderthals - may have been solved. Modern humans ate them, says a leading fossil expert.

The controversial suggestion follows publication of a study in the Journal of Anthropological Sciences about a Neanderthal jawbone apparently butchered by modern humans. Now the leader of the research team says he believes the flesh had been eaten by humans, while its teeth may have been used to make a necklace."

肉は食って、歯はネックレスにしたというのが、かわいい。

この学術報告に対して頭の固い人はカンカンになって怒っているらしい。人間に「食人習慣」があったとか言う話はタブーなのである。

『ひかりごけ』を読め。ネアンデルタール人よりずっと最近の出来事だぞ:




これに限らず、人間社会には触れてはいけないタブーが多い。特にニッポンでは「ポリティカリーコレクト」が最優先される。これじゃ科学の進歩はない。

2009年3月17日火曜日

『経度への挑戦』(デーヴァ・ソベル)

面白い本を読んだ。
経度への挑戦―一秒にかけた四百年
女性科学ジャーナリストが書いた本で、90年代に英国と米国でベストセラーとなったものだが、科学史というよりイギリスの世界征服の歴史(もしくは学会の権威主義の歴史)とかいう意味で面白い。

何百年もの間、「経度」を知ると言うことが当時のヨーロッパ諸国にとって「戦略的・地政学的」に決定的な重要課題であったのだ。そのために科学者・天文学者が総動員される(ガリレオやニュートンもこれにかかわっている)。でも最後に勝ったのは、エライ科学者や天文学者ではなく、一介の時計職人だったというお話し。エリートたちが自分たちの面子とメシのタネ(天文観測という職)を守るためこの時計職人の足を引っ張ったりしていじめるところが圧巻。

ちょっと説明しないと分からないので簡単に説明する。航海において自分の位置を知ることはとても重要。緯度は簡単に計測できる(北極星か正中太陽の高さを測ればよい)。でも経度が問題。母港の時間を示してくれる正確な時計があればわけもないのだが(現地時間との差に15°をかければ経度差が出る)当時はそんな正確な時計は存在しなかった。位置を間違えて何千人もの海員死んでしまう事故が続き、経度の測定方法の完成に莫大な賞金が掛けられることになった。ガリレオやニュートンやオイラーなどのエライ科学者は天文学による解決を主張。理論的には全く正しいのだが、そのためには膨大な天体観測データを蓄積する必要があった。そのために各国で天体観測所がどんどん作られる。ところが学校も出ていない一介の職人が、誤差がほとんどない正確な時計(クロノメーター)を作ってしまう。当時の学界の権威は天文学者などの科学者であり、こんな学問的ではないちゃちな機械に負けるのはいやだと時計の悪口を言い続けて絶対に負けを認めない。でも、実際の航海者(キャプテン・クックなど)は時計の方が便利であるとしていっせいにクロノメーターを購入し、それがスタンダードとなっていくのでありました、というお話し。

今でこそ天文学とは浮世離れした学問の代表みたいな見なされ方をしているが、当時の天文学者は、当時の植物学者(プラントハンター)と同じで、植民地獲得の莫大な期待利益に突き動かされていたことが分かりとても面白い。やっぱり金銭的インセンティブ抜きでは科学の進歩は語れないのである。

でも、天文学者に共感できるところもある。時計は止まったら一巻の終わりだが、天文学(月距法)による測定なら、どんなことがあっても(月さえ見えて居れば)大丈夫なのだ。一人でジャングル(大海原)に行ったときどっちを信頼するかと言えば、シンプル・イズ・ベストなのである。こんなことを言っているから時代遅れになるといわれればそれまでだが。

おまけ。六分儀のメカニズムをご紹介。いろいろ説明ページはあるが、この動画がいちばんわかりやすい:

ファイル:Using sextant swing.gif - Wikipedia

2009年2月16日月曜日

ワインを口に含んだだけで「泥酔」状態となった財務相……淘汰されるべき種が生き残ったからこういうことになった!

中川財務省の釈明:
asahi.com(朝日新聞社):中川財務相、泥酔疑惑に「ごっくんしていない」答弁 - 政治: "この日の質疑で財務相は当初、「13日のG7夕食会合でワインは飲み、風邪薬は少し多めに飲んだ。14日の午後1時50分からアルコールは一切飲んでいない」と説明したが、その後、「(14日の)昼食に乾杯したが、たしなむ程度。文字通り口にちょっと含んだ。グラス一杯飲んでいない」と微妙に修正した。"

それだけであんなになってしまった。下の You Tube のビデオでご覧あれ。

論より証拠、実際どういう状態だったかは、これをみればわかる:



日本列島の居住者のなかには、アルコールに極度に弱い遺伝子を持った「種」が存在する。世界的にもきわめてめずらしいケースで、昔々中国で突然変異的に発生した新しい特殊な「種」がたまたま日本列島に移住して、今でも淘汰されずに生き残っているのだとのこと。

日本列島は閉鎖隔離島なので、こうしたへんなのがいまだに生き残っているのだ。グローバル化が進行すれば何れは淘汰される。だから彼らは「絶滅危惧種の保護」に熱心なのだろう。

2009年2月12日木曜日

2/12 Today ダーウィン生誕200周年記念日

チャールズ・ダーウィン - Wikipedia: "チャールズ・ロバート・ダーウィン(Charles Robert Darwin, 1809年2月12日 - 1882年4月19日)はイギリスの自然科学者。 全ての生物種が共通の祖先から長い時間をかけて、彼が自然選択と呼んだプロセスを通して進化したことを明らかにした。

2009年記念

ダーウィンの誕生200周年と『種の起源』出版150周年記念の催しが世界中で行われている。「ダーウィン展」はアメリカ自然史博物館で開催したあとにボストン、シカゴ、カナダのトロントで行われ、イギリスでは”ダーウィン200プロジェクト”の一環として2008年から2009年にかけて行われる。日本では2008年に東京、大阪などで行われた。ケンブリッジ大学は2009年7月にフェスティバルを開催する。イギリスでは2ポンド記念硬貨が発行された。2008年9月に英国国教会は「あなたを誤解し、最初の我々の反応が誤りだったためにまだ他の人々があなたを誤解していることに対して」謝罪する記事を発表した。"


新聞ではダーウィン関係の記事が多いが、これはちょっと変わっている。心温まる記事だ:
The Darwins' marriage of science and religion - Los Angeles Times: "In their 43-year marriage, Charles and Emma Darwin used respect, understanding and acceptance to bridge the gulf between his reason and her steadfast faith."

主義主張は違っても、お互いを尊敬し、親密になることが出来るのである。世界の原理主義者どもは(ニッポンの原理主義者ももちろん)ダーウィン夫妻に学べ!

おいらも200周年ということで、まだ読んでなかった『種の起源』を読んでいる最中。難しいところをすっ飛ばせば、けっこう理解できる:





現在も動植物の進化はどんどん進行中。ニッポンというガラパゴス島に隔離され続けていると、やがてニッポン人は「珍種」となってしまうのかも知れないな。

2009年2月11日水曜日

NHK番組「ふたごの不思議に学べ」;数学の能力は遺伝しない!?

今晩のNHK「ふたごの不思議に学べ」:
インターネットTVガイド: "最新科学が解き明かす老化予防や能力UP▽お肌の老化3大原因は▽成績は遺伝で決まらない?▽がんの新要因発表▽ふたご40年ぶり感動の再会▽子育て法 三倉茉奈 三倉佳奈 黒沢年雄 陣内智則 神田愛花"

一卵性双子の学校の成績は普通の科目では見事に一致するが、数学だけは一致しないという。これは何を意味するのか?

数学の試験システムがいい加減だと言うことだろう。おいらも経験があるが、数学の試験では問題の解き方を憶えて居れば100点、憶えていなければ零点。だからおいらは大嫌いだった。実学的な意味では意味があるのだろうが、実力の差ではないのである。

おいらが数学が苦手だったのは、必ずしもおいらの頭が悪いからではなかったのである。余は大満足じゃ。

2006年12月31日日曜日

「ウヨ vs. サヨ」の対立軸はもう徹底的に古いな‥‥



机の引き出しを整理していたら,昔作ったメモが出てきた。二つの座標軸で現代ニッポンの利害関係を整理したものだが,結構使えるのでここに入れておく。

こういう分類方法:






ウヨもサヨも同じ象限に位置することがポイント。既得権益集団ももちろんこのカテゴリーに位置する。各自自分がどの象限に位置するのか,考えてみると面白い。

Posted: Sun - December 31, 2006 at 11:14 AM   Letter from Yochomachi   Science   Previous   Next  Comments (4)

2004年5月11日火曜日

HP12C, 散人がいまだに愛用する電卓



最近 iPod を買ったりして「小物」づいている。でも小物を云えばこれを忘れてはいけない。Hewlett-Packard の電卓 HP12C である。20年来これを愛用しており、今さら替えるわけにはいかない。いまだの細々と生産を続けているとのことだが、どこがすごいのかを説明する。電化製品やパソコンなども、やはり機能や性能ばかりじゃないのだ。

HP12C はそれほど日本ではポピュラーでないので、みたこともないという人もいるかも知れない。写真はこれ↓




見るからに古めかしい電卓であるが、その使用感がまず すばらしい。相当力を入れないとキーは押せない。またキーを押すたびに「プチッ、プチッ」と音がして、一つ一つの数字がいかに大事であるかを実感させてく れる。いくら指が太くとも間違えて別のキーを押すことはない。ビジネスでは数字がすべてなのであり、間違えればそれでお仕舞いなのだ。

次にすごいのは、「逆ポーランド方式」という演算指定方式。1+1=2 を計算させるのに普通の電卓では記号通りに打ち込むが、HP12C ではそういうことはない。「1 ENTER 1 + 」で答えが出るのだ。つまり日本語通り「1に1を足す」とキー操作をするわけ。これがまたたまらない。会議なんかで「ちょっと電卓貸して」なんか云われれ ば、それこそ嬉々として貸してやる。誰も使えないのだ。たまらない優越感。

それから金融計算なんかさせると、延々と時間がかかるのも良い。複雑な計算をさせているのだから、簡単に答えが出てしまっては有り難みが薄れるのである。20秒ぐらい待ってようやく答えが出るが、待った甲斐 があったというもの。答えの重みが違うのである。

でも正直に云うと、遊びでは別だ実際のビジネスの現場 で HP12C の NPV や IRR の計算をやったことはない。実際のビジネスはもっとアバウトなものだからだ。あんな機能を使うのは一部の金融関係者だけだろう。でもこの機能がついている だけで、普通のビジネスマンも最先端のビジネスマンであるという「気分」に浸れるのである。計算速度が遅いのはまったく問題ない。普通の人はせいぜい足し 算、引き算それにかけ算ぐらいにしか使わないからだ。

電池が持つのも驚異的だ。ほとんど十年間ぐらい電池交 換の必要はなかった(あまり使ってないこともあるが)。でもこれだけ長い期間愛用すると、今さら他の電卓に替えるわけにはいかない。あの「プチッ、プ チッ」がたまらないのである。

要は、HP12C は長年かけて「神話作り」に成功したと云うこと。神話となるのは、神話を信奉する人達がその神話をとても居心地が良いと感じているからに他ならない。神話 であろうと無かろうと、とにかく HP12C は使いやすく、ユーザーに強い満足感を与えてくれるのである。

HP12C の博物館もあるよ→ http://www.hpmuseum.org/hp12c.htm
 

2004年4月6日火曜日

「関西人には出っ歯が多い」(竹内久美子)



週刊文春(2004.4.8)「ズバリ、お答えしましょう」での竹内発言。問題発言ですな〜。でも彼女が言うと妙に説得力があって、納得してしまいます。ほんとでしょうか。

竹内久美子によると歯並びの悪さは歯と歯茎、あるいは顎との関係がうまく行っていな いためで、日本列島に最初にやってきた古モンゴロイドと後からやって来たシベリアでの寒地適応をとげた大きな歯を持つ新モンゴロイドが混血の結果、大きな 歯が小さな顎に生えるケースが出てきたのだという。それが出っ歯。関西は渡来人(新モンゴロイド)が多いので、それだけ混血が多く、歯並びが悪いという。

数字もあげており、出っ歯の比率はコーカソイドやニグロイドで2〜3%、日本人の場合6〜13%という。欧米人は歯の矯正をするから歯並びが良いのだとする説に対しては下記の通り反論する:
日本人は歯並びが悪くて当たり前なので、あまり矯正はしない。片や欧米人は歯並びがよくて当然なので、ちょっとでも悪いとしっかり矯正する……。
「西は西、東は東……」ですな〜。そういえば、日本では八重歯の方がカワイイとか言う人も多い。なにせ新旧モンゴロイドのミックスは日本列島でしか起こらなかったのだから……、由緒正しいのである。関西人も由緒正しいのだぞ。

2003年3月5日水曜日

Le Monde フロイトなしに夢を見ることが出来るか? 2003.3.5



夢のメカニズムについての大脳 神経生理学者の最近の研究です。難しいけれどとても面白い。フロイトの理論が生化学的に裏付けられた格好です。夢というのは目覚める瞬間に見るものなの だ!


Peut-on rêver sans Freud ? (2003.3.2) 

フロイトなしに夢を見ることが出来るか?

目覚めから夢が生まれる。この最近の神経バイオロジー のアプローチは精神分析とは矛盾しない。

1899年に『夢の解釈』が出版された。このなかでジ グムンド・フロイトは精神分析の基礎を築き「無意識の意識にたどり着く王道を」切り開いた。一世紀が経過してもこの夢の分析は精神分析の実践面で大きな柱 の一つとなっている。いま最近の神経科学の研究の結果、この手法の生化学的な原理がようやく分かるようになった。

夢とは一体何か? 一連の支離滅裂で不思議な出来事や 言葉の連続であり、時として叙述しがたいものである。しかしフロイトによればそれは多くのことのほんの表面にしか過ぎないと言う。どんなの馬鹿げた夢でも 変形していても厳格な理論で説明できるのだ。そのシンボルの裏に隠れた意味を引き出すためには、いくつかの大原則に基づきその解釈に取り組む必要がある。 大原則とは、夢は抑圧された欲望の実現或いは挫折であり、幼児期における記憶がその根本にあり、最近の出来事の場合は日中の日常生活での記憶が「材料」と なっており、夢分析の仕事は、その「材料」を暗号解読の方法で分析し、「隠された意識」を抑圧のバリアから引っ張り出すことにあるとされる。夢の分析に専 念して、精神分析医の助けを借りて、出来るだけ自由に意識を解放させることで、その根元にたどり着くことが出来るのである。

フロイトの天才はその手法を見つけ大きな道を切り開い た。実践ばかりではなく理論も発展させた。「この夢の分析解釈は、精神分析の手法がその後それから発展して進歩するにつけ、だんだん基本的なものではなく なってきたが、それでも夢分析は患者の精神状態を図る圧力計のようなものであり重要なものとして残っている」と精神分析医は言う。しかし神経工学の専門家 達は素晴らしい発見をした。神経工学で夢のメカニズムを分析するやり方は、必ずしも精神分析医の開祖がやった方法ではないのだ。

「フロイトの方法ではなくてどうやって夢を理解するの か」というのが2002年19月号の雑誌「科学と将来」が神経工学者ソフィー・シュワルツ博士の論文の前書きとして書いた言葉である。博士は「神経生化学 的な」アプローチの結果、夢というものは眠っている間の脳活動の歪みの直接的な結果であると発表したのである。この歪みが夢の中で現実が不思議な具合にゆ がめられることに繋がるのだ。知っている人の顔が怪物の顔になったり、常識はずれの大きさに拡大されたり、いろいろの色や白黒で混ざり合ったりするのだ。

コントロールの不在

こういう仮説は何故僕が巨大な犬の夢を見たのかは説明 するが、どういう理由で犬の夢を見たのかは説明しない! というのがフロイトの門下生達が唱える反論であろう。二つの流派は永遠に一致しないものなのだろ うか? 補完関係にあるのではなく折り合えないものなのだろうか? 現実は幸いにしてもっと微妙である。生化学者と精神分析医と対話は合致しないようにみ えるが、その時点に於いて彼等は大きな考え方において近づいているのである。脳神経系統のアナログ的働きという点なのである。神経性学者のタッシン博士 は、非常に有望な、二つの考え方をまとめうる、夢のメカニズムについての仮説を提案している。

眠りの間に於いては、大脳の皮質は二つのタイプのコン トロールが存在しない状態で機能している。眼や耳からはいる情報などの外部感覚によるコントロールと、神経変調器と呼ばれる脳神経の活動を上部から見張っ ている特定の脳細胞によるコントロールである。タッシン博士は「睡眠の間は皮質の活動は前日に形成された記憶に狭い範囲で依存しながらのものとなる。別の 言葉で言えば脳中枢神経のアナログ的(類推的)働きに依存するのである」とのこと。

成人の脳には二つのモードでの記憶の蓄積がある。一つ は迅速な記憶であり、アナログ記憶とも呼ばれるが、零点一秒程度の間に無意識のうちに記憶される情報である。もう一つはゆっくりとした記憶というものであ り、認識の記憶と呼ばれるが、情報が記憶に蓄積される前に十分意識的に分析されるものである。数学者のホップフィールド博士は、繰り返し繰り返し情報が脳 にはいることで記憶を形成すると同時に連想を形成すると脳のアナログ的働きを説明する。「船を見るたびに同時に黄色い雨合羽と無線アンテナを見ると、しま いに雨合羽と無線アンテナを見るだけで船を思い出す」と説明する。

神経の再活性化

それで夢はどうなったのか? その点に入る前に、なぞ の正体を見極める一つの鍵を紹介する。正常な眠りの期間には「マイクロ覚醒」と呼ばれる非常に短い覚醒の期間がたくさん混じっているのである。ほんの数秒 の覚醒期間だが、一晩中で何十回と起こるのである。これが重要なのであるが、動物実験によればこの覚醒期間になるとすぐに神経の変調器が作動することが分 かったのである。ここがタッシン博士の仮説の重要なところであるが、思案させるものであり、とても魅力的な仮説なのである。夢は目覚めることから発生する のだ!

「われわれが安定した覚醒にある間は我々の脳の認識機 能は我々の行動と思考と一貫性のあるものとなる。しかし、この「マイクロ覚醒」の期間は神経の変調器が急に活動にはいるため、急に呼び出された「記憶」の 内容が現実の認識として引きずられることになるのである。この作用はほんの零点一秒ぐらいの間で起こるため正常な覚醒状態では機能する大脳の抑制機能が働 かないことになる」と博士は説明する。そこで「おかしな」夢を見ることになり、その夢の分析解釈が重要になってくるのである。

実際に、睡眠中は我々の脳の「記憶」は偶然に動き出す のではない。「動き出すチャンスの高い記憶とは一番安定した形で保持されている記憶である。別の言葉で言えば一番重要なもので、一番感情を伴うものであ り、幼年期に獲得したも記憶である。これは夢を見た日の記憶とは異なるものである」と脳神経生化学者は強調する。この研究の方向が有望ということはフロイ トは間違っては居なかったということである。フロイトの言ったように、脳が完全に目覚めないために夢が機能するのであり、夢はまさに「安眠の守り神」なの である。

Catherine Vincent

・ ARTICLE PARU DANS L'EDITION DU 02.03.03


2002年11月26日火曜日

Le Monde: 犬は、東アジアにおいて「人間の最良の友」となった

2002.11.26

ルモンド。犬の家畜化は東アジアにおいて最初に始まったとする研究結果が発表されました。これはすごいことです。地球上最初の土器も東アジアで(それも日本列島で)発掘されています。モンゴロイドは地球上で一番古い「文明人」なのです。(もっとも古いだけではあまり自慢にはなりませんが。シーラカンスの例もあるし)

Le chien est devenu "meilleur ami de l'home" en Asie orientale(2002.11.24)

犬は、東アジアにおいて「人間の最良の友」となった

それは、アン王女が11月21日、英国の王室メンバーとしては1649年のチャールズ1世以来はじめて、その愛犬のブルドッグ・テリアが子供も襲ったとして裁判所の被告席に立ったのよりも、以前のことである。

それはまた、昨年のクリスマスにアイボなどのロボット犬が流行ったよりも前のことである。名犬リンチンチンやミルーなどよりも前・・・、それは1万5000年から4万年前に東アジアのどこかで起こったことなのである。そこにおいて、はじめて、狼から派生した犬が人間に飼い慣らされ、その子孫達がやがてユーラシア大陸、新大陸へと広がってきたのだ。このシナリオは二つの遺伝学者達のチームが記述し、11月22日付の雑誌「サイエンス」に掲載された。

今日、犬には多くの種類がある。小さいのや大きいの、毛むくじゃらのもあれば毛の短いのも、頬が垂れたのも鼻がとんがったのも、むく犬のようにおとなしいのもブルドッグのようにケンカ好きなのも、いろいろである。国際犬協会では300種類の犬があるという。それも血統書付のものだけでの話し。こんなに種類が多いので、ダーウィンも「犬の祖先を正確に知ることは、ほとんど不可能なことだ」と書いたぐらいである。事実、狼とコヨーテとジャッカルのうち、どれが犬の祖先なのか、どうも狼らしいとは思われるのだが、正確には分からなかった。1997年になって、はじめて「犬狼」というものを祖先と決定することとなったくらいである。

カリフォルニア大学のチャールズ・ヴィラのチームは、世界中に広がる27群から162の狼を選び、それをコヨーテとジャッカル、それに67種の140匹の犬のDNA配列を比較した。その結果、DNAミトコンドリアは犬と狼ではわずか1%の差違しかないことが分かり、狼が犬の唯一の祖先であることが確定されたのである。

その研究によれば、最初の野生の犬が出現したのは約13万5000年前、すなわち人間による犬の飼い慣らしより10万年前とのことである。コヨーテのジャッカルは狼から派生したが、分岐はもっと以前(約100万年前)と考えられ、犬とは関係ないとのこと。

しかし、どこで犬は狼から分岐したのか。これまたDNAミトコンドリアの出番である。ストックホルムの王立科学研究所のピーター・サヴォレネン氏によれば、DNAの「コントロール領域」という部分で突然変異の蓄積がなされるのであるが、それを東アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ極北からの654匹の犬について調べたところ、凡ての犬でほとんど共通の遺伝的特徴が見られたが、驚くことに、東アジアの犬において遺伝的な多様性が一番広く、一番進化していることが観察されたとのことである。

「これまでわれわれは中東地域で犬の家畜化が始まったと、考古学の発掘結果や他の家畜の多さから考えてがちであった」とサヴォレネン氏は言う。しかし遺伝子は一番信頼できるので上記の結論となった。東アジアの人間はただ犬を最初に家畜化したばかりではなく、多くの違う種類の狼から犬をブリーディングすることもしている。だからこれは「突然変異の偶然」ではないとサヴォレネン氏は言う。この犬の家畜化は約1万5000年前のことであると。

また、チャールズ・ヴィラ氏のチームは、アメリカ大陸の犬についても興味を持って調べた。アメリカ大陸の犬はアメリカ土着の狼から家畜化されたものか、それとも犬としてアメリカ大陸に入ってきたものかという点に興味を持ったのだ。これもDNA配列を調べると、旧大陸の犬も新大陸の犬も祖先は同じであることが分かった。だから犬は、最初にシベリアやモンゴルからベーリング海峡を渡ってアメリカに入ってきたアメリカインディアンの祖先達と一緒に、約1万3000年前に新大陸に渡ってきたことが分かった。かれは犬の家畜化は4万年前あたりだろうという。

この研究結果を読むと、現代の犬の種類の多様性は、最近数世紀の飼育手法によるもので、もともとの原種の相違によるものでないことが分かる。でも、まったくのところ、何故人間は犬を友とすることが有用であると判断したのだろうか? それはDNA鑑定でも分からない。しかし18世紀のフランスの博物学者ビュフォンは、当時の人類中心主義調で、こう書いている。「どうして人類は、犬の協力なくして、他の動物たちを征服し屈服させ奴隷化することが出来たであろうか。安全を確保し、世界を人間中心にまとめていくために、人間はまず動物の中に味方を求めねばならなかった。優しく撫でてやるとくっついてきて服従する動物を味方に付ける必要があった」ということである。

Catherine Vincent